胎動篇ー031
和国
【城下】
銀華
「さて。何処へ行きましょうか」
千代
「ん〜見所はやっぱり、煌黄桜(こうおうさくら)と麗清水川(うしみずがわ)と〜、あとは…」
千歳
「…万福(まんぷく)茶屋?」
銀華
「そうねぇ。一番近いのは煌黄桜ね。其処から順に回りましょうか」
千代
「行こ〜うっ!」
おーっ、と千代、千歳、月子、天納は横一列に手を繋いで歩く。
その後ろを銀華と金華がついて歩く。
路地を抜け、畦道を渡り、やがて城下の中心地へと出る。
月子
「…///」
天納
「うわぁ…」
色も温度も霞む白銀の世界に悠然と聳え立つ一本の桜の大木。
月子
「…すごい…///」
千代
「綺麗でしょ?ここは春、夏、秋、冬…みんなそれぞれすごく綺麗なんだよ」フフ
天納
「?…魂の匂いがする…たくさん…」クンクン
月子
「魂の匂い?」
銀華
「此処は墓地なの」
月子
「お墓…なんですか…?」
銀華
「そう」
月子
「お墓って、もっと薄暗い所にあるような…それに墓石も無いし」
銀華
「そうね。でも和国のお墓は違うのよ」
千代
「春には国中の人が集まってここでお花見するんだよっ」
月子
「お墓でお花見するの??」
千代
「満開の煌黄桜ってとぉーっても綺麗なんだよ〜///」
銀華
「さ、次は麗清水川に行きましょう。そして万福茶屋で熱いお茶でも頂きながら話をしましょ」
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