胎動篇ー028

程なくして全員が綾狐の居室に顔を揃えた。


千代
「綾狐さま全員揃いました!」

銀華
「あんた…ちょいちょい呼ぶの止めなさいって何度も…」

綾狐
「はーへーへー;;;すいやせンね;;;…ンじゃあまァ…銀華、金華、千代、千歳。月子と天納に城下の案内してやってくれ」

銀華
「…柳凪様は?」

綾狐
「柳凪殿にはもう少し話がある。申し訳ないが此処に残ってもらうよ」

銀華
「そう。では皆行きますよ」


『はぁーい(っす☆)!!!』


ばたばたと綾狐と香紗を除いた全員が部屋を出て行く。


香紗
「…」

綾狐
「…」


しん、と静まり返る部屋。


綾狐
「…」

香紗
「…」

綾狐
「…何だ?やっぱり一緒に行きたかったか?」

香紗
「…」

綾狐
「…?;;;」


香紗はただ静かに綾狐を見詰める。

綾狐は慣れない状況に堪らず目を逸らしてしまう。


香紗
「…」フフ

綾狐
「…!」ピクッ

香紗
「…俺も名前で呼んでいいかな?」

綾狐
「は?」キョトン

香紗
「"綾狐殿"」クスクス

綾狐
「???」


急に別人になったな…。

何なんだ…?

本当によく解らンな…男って奴は…。


香紗
「駄目?」

綾狐
(…そういや…柳凪殿って…誰かに…)ンン?

香紗
「?」


今度は綾狐が香紗を見詰める。


記憶の糸を手繰り寄せながら―。
 

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