胎動篇ー026

香紗
「陰陽師ねぇ」

月子
「…あの、やっぱり…陰陽師ってみなさんの敵になるんですか?」

綾狐
「昔は敵味方なンざ無かったな」

香紗
「最近の陰陽師は一方的に人外の者を悪と決め付ける馬鹿ばっかりだな」フン

月子
「そんな…!」

綾狐
「まァそれじゃなくても和国(なごく)の建国者は陰陽師に目を付けられてるンだけどな」クックックッ

月子
「え!?でも建国した人ってことはもう亡くなってるんじゃ…」

綾狐
「"陰陽師に目を付けられてる"と言っただろ?人間じゃァないンだよ。ご健在だ」カッカッカッ

月子
「Σえ゙ぇっ!?;;;」ズガンッ

綾狐
「で、少し戻るが月子」

月子
「はい…;;;」

綾狐
「お前も稲荷の人間だ。戦力としてではなくとも忍術修行をやってもらう」

月子
「はい!?;;;」

綾狐
「基本は家で修行をするが、最初の七日前後は里でやってもらう」

月子
「え、と…それは…いつから…;;;」

綾狐
「今から文書いて出して〜…明後日出発かな?」

月子
「Σ早っ!!;;;」ガンッ

天納
「オレはオレは!?」

綾狐
「もちろン一緒だ」

天納
「やっはーっ☆///」

綾狐
「じゃァちょっくら文を書くから待ってなよ」カカカ


そう言うと綾狐は筆を取るとさらさらと筆を走らせていく。


月子
「綾狐さま字綺麗…///」


ぴた。


綾狐
「月子」

月子
「はい?」

綾狐
「その"さま"付けやめないか?俺はお前の姉だぞ?」

月子
「あ…、ん〜、じゃあ〜…"綾狐姉さま"で!」ビシッ

綾狐
「ン。まァ宜しい。よし出来た、と」

天納
「早く早く☆」ワクワク

綾狐
「焦るな焦るな。墨を乾かさないと包めンだろう」カッカッカッ

天納
「む〜…」


天納は唇を尖らせ、ぷくっと頬を膨らました。


月子
(あ、天納くんかわいい…///)

綾狐
「さてさて…。誰か居るか?」

琉々(るる)
「琉々が居ります」

綾狐
「入れ」


失礼します、と狩衣(かりぎぬ)姿の男とも女とも見える者が入って来る。


琉々
「御用で御座いますか?」

綾狐
「おう。これを桜で燻して依千神(いちがみ)殿に届けておいてくれ」

琉々
「畏まりました」スッ…


文を受け取った琉々は部屋を後にする。


月子
「あの」

綾狐
「ン?」

月子
「今の人は…」

綾狐
「あァ琉々か。あれは管だよ」

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