胎動篇ー025

香紗
「でも殿様自らやらんでも」

綾狐
「…ン〜」スッ

月子
「?綾狐さま…?」


狐耳に夢中な月子の腕を取り隣に座らせ、耳を仕舞う。


綾狐
「月子、さっきの話の続きをしよう」

月子
「?はい」コクリ…

綾狐
「うちの国は"己の身は己で守れ"が基本。城の奴はもちろン城下の民にも最低限の備えをさせている」

月子
「最低限の備え?それは戦うための…ですか?」

綾狐
「いンや、民のやることは国の安全区域まで無事に逃げること。そこから先は俺ら城の奴の仕事だ」

香紗
「城の奴ったって、この城には戦出来る程の人数居ないんじゃないか?」

綾狐
「居ないな。うちは兵士を持たン。で、忍術修行が必要になる」ビシッ

天納
「どういうことっすか?」

綾狐
「少ない戦力で確実に敵を減らすには侍の様な戦いは不向きだし、俺ら妖怪には忍術の方が合ってるンだ。妖力と組合せて大技を出す事も出来るしな?」フフン

香紗
「成る程ね。でも此処に来るには幾重もの結界を正し順に踏まないと辿り着く事はできないだろう?そもそも結界に隠されたこの国の存在を他国は知らない。攻めてくる奴なんて居るのか?」

月子
(…頭が追いつかない…;;)ムゥ…

綾狐
「…陰陽師は結界を越えられるよ。それにあの結界は"対人間用"だからな。妖の者ならば容易に越えて来られる」
 

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