胎動篇ー015
花猫
「…お呼びで☆」シュタッ
月子
「Σわっ!?;;;」ビクッ
綾狐
「これを。それと母上殿が屋敷の中を見て回りたいというので案内を」
再び音も無く花猫が現れると綾狐は文を一通渡した。花猫は暫し文に目を通す。
花猫
「…御意☆では母上殿☆」
吉
「宜しくお願い致します」
綾狐
「ごゆっくり〜」ヒラヒラ〜
月子
「…」ポカーン
綾狐
「でッ!!」ビシッ
月子
「Σ!!?;;;」ビクッ
綾狐
「お前は此処でこの国や稲荷家(うち)の事を知り、覚えてもらう」
月子
「え?じゃあお母さんも居たほうが…」
綾狐
「…お前本当に何にも聞かされてないのか」フム
月子
「?どういう…」
綾狐
「母上殿はほぼ知ってるよ。稲荷家(うち)のこと」
月子
「…え?」
この人は一体何を言っているのだろう…。
綾狐
「それも追々。今はとりあえず家族の話をするよ」
月子
「はぁ…」
綾狐
「とりあえず紙と墨だな。っと、よし」
綾狐は少し大きめの下敷きと半紙を畳に広げる。
綾狐
「まずは稲荷家の家族構成だな。見づらかったらすまン」
そう言うと綾狐はすらすらと筆を走らせ始めた。
月子
「…///」オォ
綾狐
「お前字は書けるか?」
月子
「いえ…朝から晩まで畑仕事や家事をしていましたので…遊んだり、学んだりというのは…」
綾狐
「そうか。じゃァ今日から俺が教えてやる」
月子
「へ?…教えてくださるのですか?」
綾狐
「おう。お前は今日から俺の妹だからな。よし、出来た」
月子
「…」
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