胎動篇ー012
綾狐
「で?」
銀之丞
「これ…」スッ…
綾狐
「…荻津、柳凪(やなぎ)家の文と…彩華屋(さいかや)の文、か」
銀之丞
「…」
一通ずつ文に目を通す。
綾狐
「…お前、焦って内容をめちゃくちゃにした挙げ句、何ぞ勘違いしてねェか?」ハァァ
銀之丞
「え…?」
綾狐
「柳凪家が来るのは明日。そんで彩華屋の依頼が今日だ」
銀之丞
「…Σえ゙っ…;;;」ガンッ
綾狐
「どうせ"どこぞの誰かさん"が気になって焦ったのだろ?」クックックッ
銀之丞
「え?いや?へ!?;;;」
綾狐
「まァなるようになるさ。取り敢えず彩華屋行ってこい」カッカッカッ
銀之丞
「…行ってきます;;;」
綾狐
「おう」
静かに部屋を出て行く銀之丞。
襖が閉まると同時に溜め息が漏れる。
月子
「…ちょっと意外です」
綾狐
「ン〜?そりゃァどういう…」
月子
「また"バカやろーっ!!"って」
綾狐
「あァ〜あれねェ…。あの時は皆の前だったからな。銀(あれ)は気にしィな上に優し過ぎる。自分の事は二の次三の次…。…人が居ない時には一応気にしてやンだよ」ケッ
月子
「優しい方なのですね」
綾狐
「優しいと馬鹿は紙一重だよ」クックックッ
すると其処へ失礼します、と銀華に連れられて吉が入ってきた。
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