胎動篇ー003
銀之丞は溜め息をつきながら大袈裟に肩を落とした。
銀之丞
「…どうして兄ちゃんの愛は伝わらんのだろうなぁ…」
銀華
「…」ピキッ
どすっ!!!
銀之丞
「Σぐほっ!!|||」
銀華
「…」
全く懲りていない銀之丞の鳩尾を銀華の拳がめり込む。
…思い切り。
千歳
「…いつもだけど痛そう…」
此処までは毎朝の恒例らしい…。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【紫陽花間(あじさいのま)】
千代
「こちらが食事をするお部屋です。私は朝食のお支度を手伝いに行きますのでここで待っていてください」
吉
「あの」
千代
「はい?」
吉
「私達も何か手伝えないでしょうか?」
千代
「お母さま?」
綾狐
「手伝いは要らンっ!!!!」ダンッ
吉
「!」
月子
「Σ!?」ビクッ
千代
「綾狐さま。またいつものあれですか?」クスクス
綾狐
「…あれだ。本当に毎朝毎朝鬱陶しいっ!」
月子
("あれ"…?)
綾狐
「そういえばお前!」ビシッ
月子
「Σ!?…はいっ!!」ビクッ
綾狐
「お前の髪、綺麗な髪だよなァ。よく烏の濡れ羽っていうが、お前のはそれと黒真珠って感じだな」
千代
「ですよねっ!?月ちゃんの髪、すっごぉく綺麗ですよねっ!!」
綾狐
「"月ちゃん"?もう仲良くなったのか」カカカ
千代
「はいっ」
月子
「あ、あの」
綾狐
「ン?」
月子
「くろしんじゅ?って何ですか?」
綾狐
「気になるか?」フフン
うんと頷くのと同時に千歳が部屋へと入って来た。
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