胎動篇ー002

千歳
「…あ、綾お姉ちゃんおはよう」

綾狐
「はい。おはようさン。千歳(ちとせ)は相変わらず朝早ェな」

銀華
「綾狐が遅いのよ」

綾狐
「…銀華は相変わらずトゲトゲだな…。おはよう金華(きんか)」

金華
「…」コクン

銀華
「なんとでもおっしゃい。ほらさっさと漬け物を切る」

綾狐
「へいへい」


綾狐は口を尖らせながら面倒くさそうに包丁を握る。


銀之丞(ぎんのじょう)
「おーやっと起きてきたなぁ〜綾狐ぅ〜」

綾狐
「…チッ」

銀之丞
「あ!舌打ちしたなぁ!」

千歳
「…銀お兄ちゃんだめ。また綾お姉ちゃん怒っちゃう」

銀華
「放っておきなさい千歳」

千歳
「…」

銀之丞
「あ〜や〜こ〜っ」

銀華
「はぁ…おいで千歳」


銀華が千歳を呼んだ瞬間、綾狐がたくあんの貼り付いた包丁を銀之丞に突きつけた。


銀之丞
「…;;;;」ゴクリ

綾狐
「…」ゴゴゴゴゴ

銀華
「…全く。毎朝毎朝よくやるわね。綾狐行きなさい」

綾狐
「…」フシュゥ


綾狐は全身から煙を上げながらゆらりゆらりと台所を出て行く。


銀之丞
「…はぁ」
 

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