紹介しよう-005

月子
「あ、あの」

綾狐
「ン?」

月子
「さっきの花猫さんとは…?家族ではないのですか?」

綾狐
「あァ、アレな。家族ッちャァ家族だよ」

月子
「? はぁ…」

綾狐
「でけェ意味で言うと国が一つの家族なんだ。此処は。花猫は城の奴じャァねェッてだけでな」

月子
「そうなんですか」



国が一つの家族―…。



綾狐
「花猫は奴の仕事上、城と関わりが深ェから呼んだのよ」

月子
「なんのお仕事なんですか?」

綾狐
「忍びだ。国の大門の警備から有事の連絡係まで色々やってンな」

月子
「………」


 話を聴きながら急に静かになった月子。其の顔に難しく考え込んでいる風を見た綾狐は月子の背中に手をあてながら口を開いた。


綾狐
「…あンまし考え込むなよ?」

月子
「…え…?」

綾狐
「わからない事だらけで不安になってンだろーけど。俺達はお前を悪いようにはしない。絶対にだ」


 そう言って真剣な眼差しを向ける綾狐に月子が俯き加減で頷くと綾狐は満足げに笑った。




紹介しよう_終

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