お前はまたか-006

 部屋に入った三人は上座に綾狐、其の隣りちょっと離れて月子、綾狐の正面に銀之丞が座った。月子は心なしかそわそわと落ち着かない様子だ。

 そして、綾狐の前に並べられた二通の文―。


綾狐
「…荻津、柳凪(やなぎ)家の文と…彩華屋(さいかや)の文、か」

銀之丞
「…」


 一通ずつ文に目を通す。


綾狐
「…………。お前、焦って内容をめちゃくちゃにした挙げ句、何ぞ勘違いしてねェか?」ハァァ…

銀之丞
「え…?」キョトン

綾狐
「柳凪家が来るのは明日。そんで彩華屋の依頼が今日だ」

銀之丞
「…Σえ゙っ…;;;」ガンッ

綾狐
「どうせ"どこぞの誰かさん"が気になって焦ったのだろ?」クックックッ

銀之丞
「え?いや?へェッ!?;;;」

綾狐
「まァなるようになるさ。取り敢えず彩華屋行ってこいや」カッカッカッ

銀之丞
「…行ってきます;;;」ガックリ…

綾狐
「おう」


 静かに部屋を出て行く銀之丞。力無く障子が閉まると同時に溜め息が漏れる。


月子
「…ちょっと意外です」

綾狐
「ン〜?そりゃァどういう」

月子
「また"バカやろーっ!!"って」

綾狐
「あァ〜あれねェ…。あの時は皆の前だったからな。銀(あれ)は気にしィな上に優し過ぎる。自分の事は二の次三の次…。…人が居ない時には一応気にしてやンだよ」ケッ

月子
「銀之丞さまは優しい方なのですね」

綾狐
「優しいと馬鹿は紙一重だよ」クックックッ

月子
「そうとも言いますね///」クスクス

綾狐
「カッカッカッ!お前意外と言うなァ!」




お前はまたか_終

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 


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