忘れてた-003

【桜ノ間(さくらのま)】


 まるで迷路の様な屋敷内を何度も迷子になりながら月子はなんとか夕べの部屋へと辿り着いた。


月子
「いやぁ〜…;;;やっと着いたぁ〜っ!;;;」ゼィ…ゼィ…;;;

千代
「あ!月ちゃん早かったねっ☆」アハッ

月子
「もうっ!千代ちゃんのいぢわるっ!;;;」

千代
「だって早く家の中を覚えなきゃだもの♪」フフフ

千歳
「…姉さん?」

千代
「うふふふ〜☆」ニッコリ

月子
「?…マメ!ごめんね〜;;;」

豆太郎
「…ぶ」ブッス〜


 部屋の真ん中、座布団の上で茶色い兎が一羽入口に尻を向けて座って居る。


千代
「あらあら。豆ちゃん拗ねちゃったの?」

月子
「豆ぇ〜;;;」ゴメン〜;;;

千歳
「…月ちゃん来て」

月子
「え?千歳ちゃん?」

千代
「千歳ちゃん?」アラアラ

千歳
「…畑」

千代
「! あ、なるほど」


 千歳は豆太郎を抱いた月子の手を取り駆け足で部屋を出て行く。


千代
「千歳ちゃんわたし先に戻ってるからねぇ〜っ!!」


 千代が手を振りながら声を掛けると向かいの廊下で千歳が手を振り返した。


千代
「………千歳ちゃん、月ちゃんとなら…もしかしたら…」ポソッ


 二人を見送りながら小さく呟くき「さて」と広間に踵を返す。


◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 


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