忘れてた-001

広間
【紫陽花ノ間(あじさいのま)】


 支度を終えた月子と吉は千代に連れられて、彼方此方に紫陽花の装飾の施された部屋に居た。


千代
「こちらが食事をするお部屋です。私は朝食のお支度を手伝いに行きますのでここで待っていてくださいね」


「あの」

千代
「はい?」


「私達も何か手伝えないでしょうか?」

千代
「お母さま?」


綾狐
「手伝いは要らンっ!!!!」ダンッ



「!」

月子
「Σ!?」ビクッ

千代
「綾狐さま…。またいつものあれですか?」クスクス

綾狐
「…あれだッ!本当に毎朝毎朝鬱陶しいッ!」

月子
(こ、コワい…;;;)


 額に青筋を浮かべた綾狐が突然障子を乱暴に開けて入って来る。つい今し方の井戸の所で見た美女は何処へやら…。すっかり別人になっている綾狐に月子は怯えた。


綾狐
「そういえばお前!」ビシッ

月子
「Σ!?…は、はいぃっ!!|||」ビクッ

綾狐
「お前の髪、綺麗な髪だよなァ。よく烏の濡れ羽っていうが、お前のはそれと黒真珠って感じだな」ニカッ

月子
「…」ポカン…



!?



千代
「ですよねっ!?月ちゃんの髪、すっごぉく綺麗ですよねっ!!///」

綾狐
「"月ちゃん"?もう仲良くなったのか」カカカ

千代
「はいっ///」

月子
「あ、あの…?|||」

綾狐
「ン?」

月子
「くろしんじゅ?ってなんですか…?」ドキドキ…;;;

綾狐
「気になるか?」フフン


 気分の振り幅が凄い人だなぁ、とおっかなびっくりしながら月子が頷くのと同時に千歳が部屋へと入って来た。
 


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