胎動篇《三》ー014

影法師
《…其の力は異形の力。儂の領分よ》

神倶夜
(…と、云うことは…奴らも異形のモノと組んだか…)フン

貴人
「何をしたっ!?」

神倶夜
「何をしたかも解らぬ様では、妾には勝てぬぞ?貴人」クスクス

貴人
「…っ!」


一方、


美葛と対峙する香紗は、一切やる気無しな鬼灯姫を横目で見つつ溜め息を漏らしている。


鬼灯姫
「…何よ」

香紗
「彼奴はお前が地獄(向こう)に連れて逝くんだろ?」

鬼灯姫
「だから何よ」

香紗
「………」


盛大な溜め息が漏れ、真白い息が風に流れていく―…。


香紗
「…もういいや…」スッ


息が霧散して消える頃、香紗は自分の胸に右手を逆手にして何かを掴む様に当てる。



ず…っ。


ずずずずず…っ。



神倶夜
「…?何だ」

綾狐
「彼は"分身刀(ぶんしんとう)"だ」

神倶夜
「ぶんしんとう?」

綾狐
「白鬼の中でも柳凪の一族にしかない武器だな」

神倶夜
「柳凪だけ?」


香紗の様子を窺っていると、香紗が胸の真ん中から何かを引き抜く動作をする。


腕が伸びきると、其の手には刀身も柄も純白の刀が発現していた。


一般的な刀よりも細身で長く水鏡の様に輝いている。
 

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