胎動篇《三》ー013

月明かりに照らされる白銀の野。


其処に立つ三つの影。


一人は美葛だ。


鬼灯姫
「…彼は」


美葛の後ろに立つ影を見た鬼灯姫が顔をしかめる。


神倶夜
「お前が鬼神村の女か」

美葛
「娘を寄越せ…寄越せ…」ブツブツ

神倶夜
「…自我を失ったか。彼の鬼は鬼灯姫と白鬼に任せよう」

鬼灯姫
「そっちの二人は頼まれても嫌よ。香紗、さっさと祓いなさい」

香紗
「はいはい」


神倶夜
「…鬼はさて置いて…久しいのぅ…喜媚(きび)、貴人(きじん)」

喜媚
「お久しぶりです妲己姉様。そしてさようならです」

神倶夜
「妾を殺しに参ったか」クスクス

貴人
「随分と余裕ですね」

神倶夜
「当然であろう。妾がそなた等と離れてから何もせなんだとでも思うたか?賢しいのが妾の得手する所よ」

喜媚
「其れは我等とて同じ事…」

神倶夜
「…楽しみじゃ」クスクス


喜媚は大きな扇子を取り出すと神倶夜達に向かって扇いだ。


扇子から大きな光の刃が放たれ、襲い掛かる。



パシィィィンッ。



喜媚
「な…っ!?」


光の刃が神倶夜の手前で何かに弾かれて消える。


神倶夜(…影法師め…余計な事を…)


神倶夜は開いた扇子で口元を隠し、喜媚と貴人を見詰める。
 

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