胎動篇《三》ー012

鬼灯姫
「…喰らった奴か?」

神倶夜
「違う。妾の愛するたった一人の男だ」



髑髏―



神倶夜が頬ずりしていたのは人間の頭蓋骨―。

目を細めて何度も頬をすり寄せる。


???
「雅臣との約束を違えるか…神倶夜よ」

神倶夜
「行って来ますの挨拶だろ。…銀、影法師を置いて行く。後頼んだぞ」


蠢いた闇が人型に集まり、忍装束を身に纏った男が現れる。


装束の隙間からは血の通わぬ異様に青白い肌が覗き、深紅の般若の面を被っている。



其れは、人とも、妖のモノともつかぬ《異形のモノ》―



神倶夜
「では行こう」


神倶夜、綾狐、香紗、鬼灯姫の四人が地下牢を出て行く。


影法師
「…月子、と云ったか」

月子
「…っはい」ビクッ

影法師
「暫し目を閉じろ。千代、千歳手伝ってくれ」

月子
「…?」

威介
「…月子に何をする気だ」

影法師
「…」


月子と影法師の間に威介が割って入る。


影法師
「手は出さん。下がって観ていろ」

千代
「影法師さま」


影法師の背後に大きな鏡を持った千代と千歳が立つ。


影法師
「…映せ」


目を閉じる月子の後ろに鏡を持って立ち、鏡に掛けられた布を取り去る。


影法師
「…」




此は―…




  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 

[ 115/154 ]

|

し お り を 挟 む

ペ ー ジ 一 覧 に 戻 る

目 次 に 戻 る


←Novel

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -