胎動篇《三》ー010
神倶夜
「可愛い娘。お前も今日から妾の可愛い子だ月子」
月子
「…///」
神倶夜
「この儘、手を握った儘其処に座っておいで。此からの話をしよう」
月子が神倶夜の手を握った儘格子に寄り添う様に座ると、牢の前の全員に向かい話し出す。
神倶夜
「取り敢えず、初見の者が多いから自己を紹介しよう。妾は神倶夜、和国の建国者の一人であり、稲荷の始祖である。…又の名を"金毛白面九尾狐"と云う」
天納
「九尾の狐…」
神倶夜
「九尾の狐何か珍しくないだろう?…まぁ九尾と謂えば妾だがな」クスクス
天納
「え…?」
鬼灯姫
「…殷では妲己(だっき)、天竺では華陽(かよう)、此の国では玉藻御前(たまもごぜん)。此の九尾は三国を崩した極悪妖怪よ」
神倶夜
「えへへ///」テレリ
鬼灯姫
「褒めて無い」ピシャリ
綾狐
「まァ、九尾何てのは修行すれば成れるンだよ」
神倶夜
「そうそう。…っと、来たね」
突然神倶夜の瞳が細くなる。
綾狐
「…デカい霊気だな」
鬼灯姫
「彼の怨鬼も居るわね」
神倶夜
「…懐かしい気よ…。彼奴らは妾でなければ手に負えまいな」スッ
月子
「…あ…」
繋いだ手を優しく離すと神倶夜は牢の戸を開け、千代と千歳を招き入れて奥へと消えた。
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