胎動篇《三》ー004

綾狐
「だな」カッカッカッ


綾狐まで同意してきて軽く混乱する銀之丞を見て皆が笑う。

そんな中彩祢が呟く。


彩祢
「なんでそんなに笑えるの?」

綾狐
「何でとは?」ン?

彩祢
「敵が襲って来るかもしれないのにさ」

綾狐
「そンなもン来ねェよ」ニヤリ

月子
(?…あれ、さっきと…)

彩祢
「どうして?」

綾狐
「泣く子も黙る鬼の国、此の和国(なごく)に喧嘩売ってくる"馬鹿"は居ねェってンだよ」クックックッ

彩祢
「!…馬鹿ってゆうなっ!!」

舞雪
「彩祢ちゃん!」

彩祢
「!!」ハッ


舞雪に名前を呼ばれた彩祢は綾狐を見て青褪める。


綾狐
「さァて、何処のどンな"馬鹿"が来るのか吐いてもらおうか?」ニヤニヤ

彩祢
「し、知らない…!」

綾狐
「まァ美葛は来るだろうな。後二人どンなのが来るンだ?」

舞雪
「たまたま拾われただけのわたし達がそんな事知ってるわけないでしょ!?」

綾狐
「おーおー。果たして其の強がり…何時まで続くかな?」ククク

彩祢
「ど、どうゆう…」

綾狐
「日暮れまで内緒」

彩祢
「…」


俯いた彩祢の雰囲気が一変する―。

綾狐
「…」


綾狐を見上げる彩祢の顔は別人の様に変わっていた。

目にはたっぷりの涙を溜め、頬を朱(あけ)に染め、何とも言えない表情を魅せている。
 

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