胎動篇《三》ー002

綾狐
「"妖のモノ"って括りにしたら同族だろうが」

狐の少女
「じゃあ黒ちゃんは?」

綾狐
「黒ちゃン?」


狐の少女は目で鬼灯姫の方を示す。


鬼灯姫
「…纏の事?」

狐の少女
「黒ちゃんはてんっていうの?」


纏幻童子は表情を変えぬまま小首を傾げる。


鬼灯姫
「纏幻童子って言うのよ」

狐の少女
「あはは!すごい名前だね!」

綾狐
「お前は何て名前だ?」

狐の少女
「ボクは彩祢(あやね)」

綾狐
「彩祢と舞雪か。ま、暫くは稲荷家(うち)に居な」

彩祢
「…え」

舞雪
「黒…纏ちゃんは?」

鬼灯姫
「纏は地獄に連れて帰るわ。私も纏も地獄を離れては生きていけないのよ」

月子
(…あ…今…)


鬼灯姫の瞳が微かに揺れたのを月子は見逃さなかった―。


《滅多に会えないんすよね…》

《…会いたいなぁ…》


天納の呟きを思い出す。


月子
「…」

香紗
「…気になる?」

月子
「Σ!」


突然香紗が覗き込んできた。


ぐいっ。


月子
「!?」

香紗
「?」

月子
「お師匠さま?!」

威介
「…」


威介が月子の肩を抱き寄せた。


香紗
「…なに?」

威介
「仕事をしたまでだが?」

香紗
「仕事?」

威介
「月子(こいつ)の護衛」
 

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