胎動篇《二》ー047

千歳
「…銀お兄ちゃん」ツンツン

銀之丞
「ん?」

千歳
「…その人たち」

千代
「綾狐さまに呪布を巻き直すように言われているんです」


ほら、と千代は呪布を見せる。


銀之丞
「あぁそうなんだ。此処でやる?」

千代
「念の為に一応隣の間に結界を張って其処でやります」

銀之丞
「じゃあ隣に下ろすね。柳凪殿こっちに」

香紗
「はい」


千代は隣の間に続く襖を開け、千歳が素早く結界を施していく。

銀之丞と香紗は二匹と一人を下ろすと部屋から出る。


千代
「じゃあ始めましょう」

千歳
「…」コクン


二人は慣れた手つきで呪布を巻き直す。


鬼灯姫
「…其の鬼の娘は私がやるわ。結界に入っても大丈夫かしら?」

千代
「え、あ、はい。大丈夫です」コクリ

鬼灯姫
「そう」


鬼灯姫は結界を抜けると鬼の娘の傍に座り黙々と作業を続ける千代と千歳を見詰める。


鬼灯姫
「手際が良いわね」

千代
「ありがとうございます」

千歳
「…」ペコリ


あっという間に狐と雪女の呪布が巻き直された。


鬼灯姫
「後は此の鬼ね。身体の六カ所に鍼を打つから抜かない様に気を付けて頂戴」

千代
「はい」

千歳
「…」コクン


鬼灯姫は懐から布に包まれた鍼を取り出して、鬼の娘の両手首、両足首、両側のこめかみに鍼を打っていく。
 

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