稲荷家の朝-003
稲荷家
【台所】
稲荷家はそれぞれ担当を決めて全員で食事の用意をするというのが決まりになっている。
見れば綾狐と千代以外は全員揃っていた。
千歳
「…あ、綾お姉ちゃんおはよう」
綾狐
「はい。おはようさン。千歳は相変わらず朝早ェな」ニカッ
銀華
「綾狐が遅いのよ」
綾狐
「…銀華は相変わらずトゲトゲだな…。おはよう金華(きんか)」
金華
「…」コクン
銀華
「なんとでもおっしゃい。ほらさっさと漬け物を切る」
綾狐
「へいへい」
ほぼ毎日寝坊をする綾狐の担当は主に漬け物の切り分け。
銀華に言われ口を尖らせながら面倒くさそうに包丁を握り漬け物を切り出す。
「! おーやっと起きてきたなぁ〜綾狐ぅ〜///」
綾狐
「…チッ」
「あ!舌打ちしたなぁ!///」
千歳
「…銀お兄ちゃんだめ。また綾お姉ちゃん怒っちゃう」
銀華
「放っておきなさい千歳」
千歳
「…」
「あ〜や〜こ〜っ///」
銀華
「はぁ…おいで千歳」
銀華が千歳を呼んだ次、綾狐がたくあんの貼り付いた包丁を背後の男の喉元に突きつけた。
男
「…;;;;」ゴクリ
綾狐
「…」ゴゴゴゴゴ
銀華
「…全く。毎朝毎朝よくやるわね。行きなさい綾狐」
綾狐
「…」
綾狐は全身から煙を上げながらゆらりゆらりと台所を出て行く。
男
「…はぁ」
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