胎動篇《二》ー046
香紗
「銀之丞殿、手を貸して貰えますか?」
銀之丞
「はいはい。…おや?」
香紗
「?どうなさいました?」
銀之丞
「…」チョイチョイ
香紗
「?」
銀之丞は牛車の外に香紗を呼ぶとそっと耳打ちをする―。
天納君の隣の子―…。
香紗
「え?あ、あぁ。"彼"がそうです」フフフ
銀之丞
「天納君面食いだねぇ」フフフ
二人がこそこそしていると、中から不機嫌な声が届く。
鬼灯姫
「早く案内なさい」
銀之丞
「申し訳有りません。では御案内します」フフフ
鬼灯姫
「…」フン
鬼灯姫、纏幻童子、天納が牛車から降りると、香紗と銀之丞が仔妖怪と鬼に成りかけの娘を手分けして降ろし竜胆間へと向かう。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
【竜胆間】
銀華
「お師匠様、御無沙汰しております」
金華
「…」ペコリ
威介
「おう」
月子
「お師匠さまはみなさんのお師匠さまなのですね」
威介
「おう」
銀華
「ところで何故お師匠様まで?」
威介
「月子の護衛だそうだ」
銀華
「左様ですか。良かったわね月子」
月子
「!は、はいっ///」
わ!銀姉さまに初めて名前で呼んでもらえたっ///
威介
「何にやにやしてんだよ?」
月子
「Σ!してませんっ///」
銀之丞
「お!なになに?月子ちゃん顔真っ赤だよ?」
月子
「っ銀兄さままで…っ!」
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