胎動篇《二》ー044
威介
「…どういう訳だよ…|||」ハァ
将右衛門
「え?だから…」キョトン
威介
「行きます!行きますよ?!;;;」
威介は面倒臭そうに立ち上がると牛車に乗り込んだ。
綾狐
「…。依千神殿、巻き込ンでしまって申し訳有りませンが、有事の際には飯綱と琉々に従ってください」
将右衛門
「わかっております。其れでは私は屋敷の者と村の者に話をしに参りますのでこれで」
綾狐
「はい」
飯綱
「綾狐さま…」
綾狐
「お前は知っていた方が良いな」
そう言うと綾狐は金色の石を飯綱に渡す。
綾狐
「頼ンだぞ、飯綱、琉々」
琉々
「かしこまりました」
飯綱
「…」ギュ…
綾狐
「行こう香紗殿」
香紗
「ん」
二人はもう一度将右衛門に礼をして牛車に乗り込んだ。
茶羅
「参ります」
茶羅が合図をすると牛が歩き出す。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
月子
「そういえば姉さま?」
綾狐
「ン?」
月子
「かぐやさまというのは…」
綾狐
「…」
月子
(…あれ、訊いたらだめだったかな…?)
綾狐
「此処では話せねェな。誰に聴かれるか判らンからな」
月子
「そうですか…」
威介
「で?何で妖怪のイザコザに人間の俺が連れてかれんの?」ブスッ
威介は面倒臭そうに訊く。
綾狐
「此の件、かなり面倒臭そうなンですよ。誰も月子の面倒を見ていられない」
威介
「で?」
綾狐
「月子の護衛です」
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