胎動篇《二》ー040
綾狐
「…香紗殿、其の娘を飯綱に。飯綱、捕まえておけ」
香紗は暴れる少女を飯綱に渡す。
飯綱
「はいはい。危ないから暴れないでね?」クスクス
少女
「!?」
飯綱が少女の額を撫でると少女は気を失い倒れ込む。
少女
「!舞雪(まゆき)っ!!」
綾狐
「あンな仔妖怪まで巻き込みやがって」
ぴりっ。
怨鬼:美葛
「…来たね」フフフ
???
「…」
久住とは反対側の庭の端に緋の目の少女が立っている。
怨鬼:美葛
「…さぁこいつらを焼いておしまい…!」
緋の目の少女は無言の儘一歩ずつ歩み寄って来る。
少女は蜃気楼を纏っていて、そのせいか通った所の雪が溶けて消えていく。
香紗
「…何?其奴、あんたの最終兵器?」
怨鬼:美葛
「まぁそんなところよ。これでお前達も…」
香紗
「じゃ、あんた終わりだな」クックックッ
怨鬼:美葛
「な…!?あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙っ」
美葛は見る間に黒い炎に包まれていく。
怨鬼:美葛
「おまえ…!!!」
鬼灯姫
「残念ね。私の敵は此の子の敵よ」
怨鬼:美葛
「ぐっ…!」
ざぁぁぁぁっ!
全員
『!』
一陣の風が庭を吹き抜け、其処に美葛の姿は無くなっていた。
鬼灯姫
「逃がしたわね…」
天納
「今、変な臭いがした」
香紗
「気配だろ」
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