胎動篇《二》ー038
威介
「…飯綱は綾狐に化けて修行をしていた事があったな」ニヤリ
飯綱
「…バレていたんですね」アハハ
飯綱
「…」フム
ぼふんっ。
威介
「!」
琉々
「…流石は綾狐様の御師匠様で御座いますね。私自身が管狐なので、つい管の話をしてしまいましたよ」ヤレヤレ
飯綱
「だけど琉々、作戦は大成功のようだよ?」
飯綱
「!」
飯綱(本物)と琉々は二人目の飯綱を見る。
威介もつられて二人目の飯綱を見る。
飯綱
「キミはだぁれ?どうしてボクに化けているの?」
飯綱
「く…っ」
琉々
「答えなさい」
ぼふんっ。
飯綱
「おや」
変化の術を解いた姿に三人は目を丸くする。
まだあどけなさの残る少女が姿を露わした。
???
「罠だったの…?」
飯綱
「あの怨鬼以外に幾つかの気配がしていたからね。お師匠さまと月子さまが二人きりになった時に動き出すかな?って」クスクス
???
「…」
飯綱
「キミの名前は?」
???
「…」
飯綱
「…"言霊"を気にしているの?キミはこの部屋に入った時点であの派手な着物の子の幾重にも張られた結界に捕らえられているから気にしても遅いよ?」フフフ
???
「…!」
琉々
「残念でしたね」
琉々は無表情で言う。
キミの名前は?
飯綱は少女に手を差し伸べた―。
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