胎動篇《二》ー037

飯綱
「…!」

威介
「…お前、誰だ」


威介は月子を庇う様に抱きながら目の前の少年を睨む。


飯綱
「…嫌ですね。僕は綾狐さまの小姓の飯綱ですよ?さっきご自分で"飯綱"と呼んでくださったじゃないですか」クスクス

威介
「…そいつは残念だったな。飯綱はあいつの小姓なんかじゃねぇ。あいつがいつも連れてる狐だよ」

飯綱
「!?」

威介
「それと、あいつが管を置いてったのは嘘だ。騙されるとこだったよ。飯綱は…」

???
「よく見抜かれましたね。威介さん」

威介
「!…もう大丈夫なのか?」


声のした方を見ると少し疲れた様子の飯綱が立っている。


飯綱
「まだ少しくらくらしますが、不穏な気配がしたので」

飯綱
「…」チッ

飯綱
「威介さん、月子さんから御札を取り上げてください!その御札は魂を弱らせ、黄泉に捕まえる御札です!」


威介は羽織りを捲り上げ月子の手から札を取り上げようと手を伸ばす―


???
「いけません」


威介
「Σ!!…は?!」ギョッ



威介の目の前には三人目の飯綱が立っている。


飯綱一人目
「威介さま」

飯綱二人目
「威介さん」

飯綱三人目
「お師匠さま」


威介
「………。くくっ」


威介は下を向いた儘小さく笑うと月子に羽織りを掛け直す。
 

[ 90/154 ]

|

し お り を 挟 む

ペ ー ジ 一 覧 に 戻 る

目 次 に 戻 る


←Novel

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -