胎動篇《二》ー036

飯綱
「……先に月子さまを」

威介
「…あぁ」

飯綱
「ありがとうございます」


飯綱は月子の目元を掌で優しく閉ざし「おやすみなさい」と呟いた。


月子
「…ね…えさ……ま……」スゥ

飯綱
「……」

威介
「眠ったのか?」

飯綱
「はい」


飯綱は羽織りを脱ぎ、畳んで枕の形にした。

其れに月子の頭を乗せ、札を握り締めた両の手をお腹の上で合わせる。


飯綱
「威介さまの羽織り…貸していただけますか?」

威介
「俺の?」


飯綱は困った様に笑いながら「このままでは風邪をひいてしまいます」と月子を示した。


威介
「あ?あぁ」

飯綱
「じゃあボクはこのまま部屋の内側からも結界を張るので」


威介は羽織りを月子に掛けていた手を止めた。


威介
「からもって…破れたんじゃないのか?結界」
 

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