胎動篇《二》ー035

静か過ぎる。


それに、


月子の様子もおかしい…。


寝ているというよりかは気を失っている、という表現の方が近い。


…足、痺れてきたな…。


動いても大丈夫か…?


???
「威介さま」

威介
「!?」


誰も居なくなった筈の部屋に威介を呼ぶ声が響く。

そっと屏風の陰から覗くと銀髪の少年が此方を向いて座っていた。


???
「もう声を発しても、月子さまを離されても大丈夫ですよ」


威介は其の少年に見覚えがあった。


威介
「お前、飯綱か」

飯綱
「はい!」ニッコリ


威介に名前を呼ばれた飯綱は嬉々として返事をした。


飯綱
「綾狐さまがそっとボクの筒の栓を抜いて此処へ残して行かれたのです」

威介
「そうだったのか。でもどうして…」

飯綱
「はい。それはボクの仕事が鬼退治が終わるまで月子さまを深く眠らせておく事だからです」

威介
「!?」

飯綱
「今はまだ事情をお話する事は出来ませんが…綾狐さまは月子さまを悪い様にはいたしません」

威介
「…ま、理由も無しに動く奴じゃないからな…」ヨット


そう言うと威介は月子を降ろそうと体を動かした。

月子
「…ん」

威介
「!」

飯綱
「おや。やっぱり御札だけじゃダメみたいですね」

威介
「?…どういう意味だ?」
 

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