胎動篇《二》ー031

鬼灯姫
「…」

鬼女
「あぁ…やっと忌々しい結界が消えたわ…」クスクス


あらぬ方向から声がする。

開け放たれた障子を見ると庭に鬼女が立っていた。


月子
「ごめんなさい…っ。…わたし…っ!」

香紗
「気にするな」

鬼灯姫
「問題無い」スッ


鬼灯姫と香紗が縁側に出る。


綾狐・天納
『…』


綾狐と天納はじっと息を潜めた儘微動だにしない。


月子
(どうしよう…わたしのせいで結界が…っ)

威介
「…」


今にも泣き出してしまいそうな月子の耳に威介が顔を寄せる。


月子
(―…っ!)



体ごと横向けるか?



月子
(…横、って…こうかな…?)


腕の中でもぞもぞ体を捩りどうにかこうにか横を向く。


そ…。


月子
(?)

威介
「…気にすんな」


威介は月子の頭をぽんぽんとすると、其の儘抱きしめた。

月子
(あ…横向きでくっついてるからお師匠さまの心の臓の音が聞こえる…)


威介
「…」

綾狐
「…其の儘寝てな…」ククク

月子
「え……姉…さま…」


綾狐は呟きながら月子の両目に手を翳して静かに立ち上がる。

其れに合わせる様にして天納も立ち上がり縁側に出て行く。


綾狐
「……お前が知るにはまだ早過ぎる…今はまだ…」スッ


威介
「?」


たん…。
 

[ 84/154 ]

|

し お り を 挟 む

ペ ー ジ 一 覧 に 戻 る

目 次 に 戻 る


←Novel

×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -