胎動篇《二》ー030

鬼女は横たわる女を見下ろす様に立ち止まる。

眼前に居る鬼灯姫に気付いている様子は無い。


鬼灯姫
「…」

鬼女
「…はて…鬼火が居らぬ、な…」


鬼女は気怠げに首を傾げると座り込む。

すると、鬼女の周りにぽつぽつと鬼火が現れ、其の一つを手に取ると横たわる女に手を伸ばす―。


ずっ…。


びきっ。


鬼女
「!」グッ

月子
(…あれ?…手が抜けなくなってる…?)


鬼女
「…誰ぞ結界を張りおったな……だが…此の程度の結界なぞ…!?」

鬼灯姫
「其の結界は破れないわよ」

鬼女
「お前何時から其処に…!」

鬼灯姫
「鬼火が抜けた事に気付いたお前は植え直そうとするだろうと、其の娘の中に捕獲用の術を仕掛けたのよ」

鬼女
「ぐぐぐ…っ」

鬼灯姫
「柳凪の術は怨鬼のお前でも解くのは不可能よ」

鬼女
「ふっ…くっくっくっ…あっはっはっはっはっ…!」

綾狐
「?」

月子・威介
『!?』

天納
「?」

鬼女
「舐められたらものよのぅ?」


さら…っ。


鬼女は不適な笑みを浮かべると砂の様にさらりと崩れて消える。


月子
「消えたっ…!?」

綾狐
「!」

月子
「!」ハッ


いけない…っ!


 

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