胎動篇《二》ー028
鬼灯姫
「鬼火を取り出したら総ての準備が完了するわ。良い?」
香紗
「ちょっと待った。月子殿」
月子
「Σは、はい…!」
香紗
「此の札を。綾狐殿には手を貸して貰わないといけないかもしれないからな。しっかり握っておくんだよ?其れから八笠女殿は"もしも"の為に札ごと月子殿を抱いていてください」
月子・威介
『え?』キョトン
綾狐
「恥ずかしがっている場合じゃァないからな?死にたくなければ指示に従いな」クックックッ
威介
「…解ったよ」ムスッ
月子はすっぽりと威介の腕の中に収まった。
月子
「…///」
綾狐
「後、お師様。もし結界が破れて鬼が襲って来ても絶対に手を出さないで下さいね?言いたかないが、妖のモノには同じ妖のモノでなければ相手にならない。月子も。絶対にお師様の懐から動くなよ?」
威介
(妖のモノには妖のモノが…か…)フン
月子
(…声を出してはいけない、お師匠さまの腕の中から動いてはいけない…気をつけなきゃ…)コクン
綾狐は深呼吸を一つすると目を閉じる。
香紗は三人を確認すると天納の隣へ座り、鬼灯姫に合図する。
鬼灯姫
「…始めるわ」
鬼灯姫は小さく何かを唱えると右手を女の左胸に突っ込む。
女の胸は出血をするでもなく、ただ水に波紋が広がる様に不自然に揺れている。
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