胎動篇《二》ー026

威介
「…っ解ったよ。来い」

綾狐
「有り難う御座います」スッ


綾狐は威介に礼を言うとあっと言う間に廊下を駆け出した。


威介
(そんなに火急なのか…?)

月子
(…姉さま…)

鬼灯姫
「天納、娘を。さぁ早く部屋へ案内なさい」

威介
「…こっちだ」

天納
「月ちゃん」

月子
「…」


恐怖と不安に動けなくなった月子を天納が優しく促す。


其の肩には気を失った女が担がれている。


月子
(…天納くんて華奢に見えるけどやっぱり男の子なんだな…。…というか、天狗だから?)ジー

天納
「?月ちゃん?急がないと鬼灯姫ちゃんに…」

鬼灯姫
「天納」

月子
「Σ!?」ビクッ


部屋の中から先程とは打って変わって威圧的な声が天納を呼びつけた。


天納
「ほらね?」クスクス

月子
「ごめんなさい;;;」


二人は急ぎ足で部屋へと入る。


威介
「で、どうすんだ?」

鬼灯姫
「結界を張るわ。天納、娘を」


天納は入口から少し奥まった場所に女を降ろす。


鬼灯姫
「後は私がやるわ。天納は二人に説明を」

天納
「はいっす☆」

綾狐
「依千神殿の許可取ってきたぞ。ン?結界張るのか?」

鬼灯姫
「そうよ。天狐の一族では扱えない術だから下がっていなさい」

綾狐
「ふゥン?」


綾狐は作業を続ける鬼灯姫を流し見しつつ部屋の角に居る三人に近付く。


月子
「姉さま…」

綾狐
「大丈夫」
 

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