胎動篇《二》ー023

威介
「で、何しに来た?」


月子の隣に腰を下ろす。


月子
「え、と、お師匠さまが気になったので…」

威介
「何だ?やっと惚れたのか?」ニヤニヤ

月子
「っ違います!///」

威介
「何ムキになってんだよ」クックックッ

月子
「もう…」

威介
「………。お前、あんまり俺の側に寄らない方が良いぞ」

月子
「え?」


威介の顔を見上げると庭の松を呆れた様な冷めた目で見ている。

其の視線を追って行くと松の陰に一人の女が立っていた。

年は月子と同じ位に見える。


月子
(……わたし…睨まれてる…?)

威介
「お前、誰の許可を得て其処に居る」


「…許可なんてないわ」



なんて…冷たい声…。



威介
「今すぐ出て行け。許可も無しに依千神の屋敷に立ち入るな」


「…」

月子
(………怖い…あの子…)


女は月子を見据えた儘微動だにしない。


威介
「…何度も言わせるなよ…?」


威介の言葉に怒りの色が滲む。

女は力ずくで追い出そうと近付く威介を軽くかわすと月子に向かって思い切り腕を振り下ろす―。


月子
「っ!?」

威介
「!月子っ!」

がしっ!!



「!」


振り下ろされた腕は月子に届かず、其の手首は何者かに強く掴まれていた。



「っお前!邪魔をするのかっ!!!」

月子
「!?」

綾狐
「…手前ェの可愛い妹が手ェ挙げられそうになってンのを黙って見る姉は居ねェだろうよ。少なくとも俺はな」クク

威介
「…綾狐、と」
 

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