胎動篇《二》ー022

えぇと…山側…山側…。


あ…。



ふと、向かいの屋敷の屋根の上に人の足先が見えた。



お師匠さま?


梯子、梯子…。


月子
「あ、あった!」


月子は梯子を屋根に掛け、足場を確認すると慎重に登っていく。


月子
「あ…」

威介
「…」


威介は真っ白な雪の上に寝そべって曇天の空を見上げている。


月子
「お師匠さまみっけ?」

威介
「!」

月子
「あの、そっちに行きたいのですが…」

威介
「お前…どうしてここが…」

月子
「姉さまに聞きました。…その、気になったので…お師匠さまのことが」

威介
「そ」


よ、と立ち上がると梯子に近付き月子の顔を覗き込んだ。


月子
「!っ////」

威介
「お前鈍くさそうだから屋根は駄目」

月子
「なっ!」


威介はニヤリと笑うとひらりと屋根から飛び降りた。


驚いて下を見ると威介は梯子を見上げ両手を差し出している。


月子
「?…お師匠さま?」キョトン

威介
「ほら。早く降りて来い」


月子はまた慎重に一段ずつ降りる。



が、あと数段という所で体が宙に浮いた。



月子
「え?」


とすんっ。


威介
「本当に鈍くせぇのな」クックックッ

月子
「お、おっしょーさま?!;;;」ビックリ

威介
「和尚?変な奴」クスッ

月子
「…///」


威介は縁側に月子を下ろすと梯子を片付ける。
 

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