胎動篇《二》ー020
翌朝―。
依千神家
【道場】
将右衛門
「今日から修行開始ですね。頑張ってください」ニッコリ
月子
「はいっ!」
天納
「がんばるっす☆」
威介
「お前ら随分ひょろいが大丈夫か?」
月子
「体力には自信ありますっ!!」
天納
「オレもオレもっ☆」
威介
「じゃあとりあえずお前らの現状を見るから。道場の中を出来るだけ大きく円を描いて、体力の続く限り走り続けろ」
始め、という掛け声で二人が走り始めた。
香紗
「…くしゅんっ」
綾狐
「柳凪殿?」
香紗
「やっぱりちょっと冷えたかな…」ンー?
綾狐
「風邪か?」
香紗
「かな?」
綾狐
「休ンでた方が良いンじゃないか?」
将右衛門
「そうですね。天納君は私が見ていますから休んでください。薬師も呼びましょう」
香紗
「じゃあお言葉に甘えて…」
威介
「…あんなとこで寝るからだろ…」ボソッ
香紗
「…」ピタッ
威介
「なんだよ?」
香紗は意地悪く笑うと威介の耳元に顔を寄せる。
香紗
「―…」
威介
「!っおま…っ」バッ
将右衛門
「さ、柳凪殿御部屋の方に」
香紗
「すみません」
綾狐
「お師様と何話したンだ?」
香紗
「天納を頼むって」
綾狐
「ふゥン?ま、ゆっくり休めよ」
香紗
「ん」
香紗は将右衛門に連れられ道場を後にした。
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