胎動篇《二》ー014

夕食も風呂も済ませた月子は部屋に戻ると早々に灯りを消し、豆太郎と一緒に布団に入っていた。

一人部屋の為、部屋の中は月子の呼吸の音だけが静かに鳴る。

時折雪が障子に当たる他に音は無く、屋敷全体がしんと静けさに包まれていた。


月子
「…静か」ポツリ…


和国に来る前はこんなにも静かな夜なんて一度も無かった。

温かな布団も無かったし。

冬になるといつも身を切る様な隙間風に歯を食いしばって耐えていた。

和国での夜は姉さまと一緒だったけど、一人になると穏やか過ぎて不安になる。


月子
「…眠れないな…あ」


布団から体を起こすと襖の隙間から月明かりが差していた。



雪…止んだのかな?



厚手の羽織りを羽織ると部屋を出て、庭に面した障子を開ける。


月子
「寒っ…はぁ、真っ白…綺麗…///」


見渡す限りに降り積もった雪の粒が月明かりを反射してきらきらと光る。


月子
「…」


座り込んで開けた障子にもたれかかり庭を眺める。


???
「おい、寝てんのか?」

月子
「!」ビクッ


振り返ると怪訝そうな顔の威介が立っていた。


月子
「あの、眠れなくて…」

威介
「ふーん?」ドカッ

月子
「!…お師匠さま?」


威介は月子の隣に腰を下ろした。


月子
(ち、近い…///;;)


障子にもたれかかる月子の肩に威介が寄りかかる。


月子
(あ、お師匠さまのまつげ長い)ジー


成る程。

里の女が全員敵になるのが解った気がした。

月明かりに照らされた横顔はとても整っている。
 

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