胎動篇《二》ー013

綾狐
「解毒薬あるか?」

すみれ
「…」スッ


すみれは無言のまま苦しむ綾狐に近付く。


すみれ
「…これは神経系の毒ですね」

綾狐
「ですね、って自分の技なのに解らンのか?」

すみれ
「蠱惑は攻撃も毒の種類も何が出るかはわからないのです」

将右衛門
「そんな危ない技を綾狐殿に向けたのか」

すみれ
「申し訳ありません。御当主様なら避けられるかと」


そう言うと袂から蛤の殻に入った軟膏を取り出し綾狐の鼻の下に一筋引いた。


綾狐
「…ぅ…」スゥ

綾狐
「ふむ。よっ」ポンッ

すみれ
「あら」


綾狐が倒れ込んでいる自分の後ろ頭を軽く叩いた。


月子
「きつね?」

綾狐
「おう。俺が常に連れている"飯綱(いづな)"だ。可愛いだろ?」フフン


綾狐は現れた小さな銀狐を抱き上げる。


月子
「銀色の狐なんですね///」

天納
「可愛いっすね☆触ってもいいっすかっ!?」

綾狐
「構わンよ。寝てるから触るより抱いた方がいいな。中入って座れ」

月子
「わたしも!わたしもさわりたいですっ!///」

豆太郎
「ぷ!」

綾狐
「お前もか」カッカッカッ

将右衛門
「大丈夫ですか?綾狐殿」

綾狐
「問題無い」カッカッカッ


全員が綾狐に付いて部屋に上がっていく。


威介
「………。っておいっ!!」ザバァーッ

将右衛門
「あぁ、威介。よく拭きなさい。風邪をひきますよ」ニコニコ

威介
「…いや…そういうことじゃなくて;;;…ん?」

香紗
「はい」

威介
「…悪ぃ」


香紗が手拭いを手渡そうと近付き―…。



お久しぶりです。

"覗き見お師匠"さん―。



威介
「?…何のことだ」

香紗
「ふふ。さぁ?」ニヤリ

威介
(コイツ…!)イラッ


  ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
 

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