胎動篇《二》ー008

綾狐は建物の陰や垣根を指差す。


綾狐
「あのでェッけェひそひそ話が気になるってェのかと思ったよ!!」ニヤリ

月子
「!!」


綾狐は月子を通り越して陰に潜む者達に向かって言う。

するとがさがさと退散していく気配が彼方此方で確認できた。


月子
「…;;;」

香紗
「随分居たな」フン

綾狐
「気を付けろ?この里の女全員、稲荷家を目の敵にしてるからな」クックックッ

月子
「Σえ゙っ」

綾狐
「依千神の屋敷に行けば多分解るよ。…多分な」ククク

香紗
「里の女全員敵か…大変だな」フフ

月子
(…修行…大丈夫、かな…;;;)ドキドキドキ…

綾狐
「そら、見えてきたぞ。あれが依千神の屋敷だ」


目の前には一際大きく、歴史を感じられる屋敷があった。

門には大きな一枚板に、《羅刹里 依千神流総本家》と書かれている。


月子
「…」ドキドキ

香紗
「羅刹の里っていうのかここ」

綾狐
「おう。さ、入ろう」


門を抜けると将右衛門と天納が待っていた。それと―


威介
「遅い」

綾狐
「…久方ぶりです。お師様」

月子
「この方が姉さまのお師匠さまですか?」

綾狐
「そうだ」

香紗
「…」

月子
「…」

威介
「ふーん?」スッ


ずいっ。


威介
「…」

綾狐
「俺の大事な妹には手を出さないでくださいよ?」

威介
「あ?こんなちんちくりんに手ぇ出す程女に困っちゃいねぇよ」

月子
(Σち、ちんちくりん…)ガーンッ

香紗
「…」

将右衛門
「威介、そんな所で話してないで上がりなさい」
 

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