規格外少女ー004


「! ッ後ろ…ッ!!」

少女
「…」ムッ


「おいってばッ!?」

少女
「オレの質問の答えが先なのに…」ブツブツ


「!?」


 顔をしかめてため息をつき、振り返ればヤミが少女目掛けて大口を開け迫っている。

 男はいよいよ諦めてスローモーションで回る光景を眺めた。



 刹那―



 息が詰まる程ゆっくりとした世界でヤミの口が少女を捕らえたと思った。思ったがまばたきひとつの間にヤミの喉笛が裂け、遥か後方に吹き飛んだ。

 何が起きたのか解らない。

 脳天をつんざくヤミの悲鳴の中で静かに声がした。


少女
「…で、お前はここで死ぬのか、生きるのか、どっちだ?」


「…っ」ビクッ

少女
「…しつけぇヤツだ」ハァ


「え?」



グンッ!!!




「!!!」



ギィァオォォルアアアァガァァァァッ!!!!!



 吹き飛んだはずのヤミが全くの無傷の状態で再び襲い掛かる。

 しかし、ヤミの爪はふたりではなく木の幹を掻いた。爪が届くよりも速く少女が男を抱き上げて高い木の枝へと飛び上がったのだ。


少女
「やっぱ喉元かっ捌いたぐらいじゃダメか」ウザ…


「…キミは…一体…」
 


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