規格外少女ー003

 寝床から程近く、目に飛び込んだのはよく見る《人間がヤミに喰われる》寸前に"よく似た光景"。

 よく見る光景と違うのは男が大きな木を背にその根元にへたり込んでいて、片足を失い、死の恐怖に顔をひきつらせ嗚咽を漏らす。しかし、その目は諦めきってはおらず、震える手は《ヤミに刃を向けて》いる。



「う、あぁ…いやだ、いやだ…俺はまだ…まだ…っ!!」

「おー?珍しいな。こいつ目の前にして諦めない奴初めてだ!」ニカッ


「!? だ、誰だ…ッ」ビクッ

「誰でもいーじゃん」


「!?」


 自分が背にしている木から突然飛び降りてきた人影。興味津々に顔を覗き込んでくる人影はよくよく見ればまだあどけなさの残る少女だった。



「! そのジャケットの腕章…"魔警団 総師団長"…!?なんで…っ」

少女
「オマエはあれ(ヤミ)に喰われんのと生かされるの、どっちがいい?」カクリ


「へ…?」


 少女は男のそばに寄るとしゃがみ込んで質問を繰り返す。


――死ぬ?生きる?



 


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