規格外少女ー002

 そんな帰らずの森の水辺。一面苔の絨毯に覆われたその場所はあちらこちらで澄んだ水が湧き、様々な大きさの水たまりが点在している。

 その中でもひときわ大きな水たまりの中心にある浮島で森の住人が目を覚ました。花の季節が終わり、若葉がさわさわと風に揺らぐ森。降り注ぐ木漏れ日に目を細める。


 穏やかな森に立ち籠める腐臭と血の臭い。そして響き渡る狂態の声と怒号―


(…今日はやけにヤミがざわついてんな……また聖都の奴らが森に入ったか…)コリナイネェ…


 聖都の人間は時折森に入ってはヤミの掃討をしているらしかった。ヤミの出現で魔力の消失が始まり、それと同時に生活域も後退している。

 ヤミを倒して生物の生息域をなんとか広げようとしているのだ。


「ヤミが引き付けられてるうちに水浴びしよう…ふぁ〜…」ノビ〜




『ウワァァァァッ!!!く、来るなぁぁぁッ!!!』




「Σおわっ!?」ビクッ



ちっか…びっくりした…;;;



 瞬間、寝呆けていた頭は一気に起きて悲鳴のした方へと足を走らせた。
 


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