014
シグレとアオイはそんな居住区画の家々の屋根の上を音もなくヒョイヒョイと進んでいた。
行き先は第三聖域級区画。ここに警師団の本部があり、師団長であるホームズ・ルートンが居る。
アオイ
(…なんか…クサいな…)スンスン…
アイツらのニオイだ。
アオイ
「なぁ、障壁の中にもヤミっているのか?」
シグレ
「…」
アオイ
「なぁって」
シグレ
「煩ぇ。黙ってついて来い」
アオイ
「…」ム
感じワル…。
程なくして警師団本部よりも立派な造りの建物へとたどり着く。
蔦に覆われた石造りの建ての建物。
アオイ
「ここにホーム・ズルートンがいんのか?」
シグレ
「黙ってろ」
アオイ
(またかよ…)
シグレ
「…」
シグレは息を殺して建物の屋根へと登り素早く移動をする。屋根の端に着くやいなや、真下の部屋の様子を窺い、猫の声真似をする。
すると内から錠の外れる音がして年老いた男が顔を出した。
年老いた男
「おやおや、屋根から降りられなくなったか野良?入っておいで」
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