002

【聖都:アルファヴァ】
障壁の外[ヤミの巣くう森]


???
(…今日はやけにヤミが騒いでんなぁ…また聖都のヤツらが森に入ったのか…)


 心地良い風が抜ける森の中、あちらこちらで聞くに耐えない醜いヤミの声が響き渡っている。

 寝床にしている樹上で目を覚ましたこの森の一住人は眠い目をこすりながら伸びをして枝を降りた。


???
「ヤミが引き付けられてるうちに水浴びしよう…ふぁ〜…」ンー…



『ウワァァァァッ!!!く、来るなぁぁぁッ!!!』



???
「!」



近いな。



 誰かがヤミに襲われている。寝呆けていた頭は一気に起きて悲鳴のした方へと足を走らせた。

 目に飛び込んだのはよく見る人間がヤミに喰われる寸前によく似た光景。

 大きな木を背に片足を失した満身創痍の男が泣きながらヤミに剣を向けている。



「う、あぁ…いやだ、いやだ…俺はまだ…まだ…っ」


???
「よく耐えたな」


「え…?」


グンッ!!



「!!?」

???
「ここで待ってろ」


 声がした瞬間、気付けば高い木の上に居て、自分を喰おうとしていたヤミはバラバラに細切れにされていた。


???
「よっと。足見せてみろ」


「!?」ビクッ
 


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