微笑むヒトー003

 低く柔らかな声。

 その声の主が窓から離れる気配がするとシグレは身軽く部屋に飛び込みアオイも同じように飛び込んだ。

 着地した姿勢のまま辺りをきょろきょろしていると上から声が降ってきた。

 穏やかに微笑む白髪の男。長い髪をゆったりと結い、全体的に少し線が細く、優しげな雰囲気だ。


白髪の男
「今夜は随分と愛らしい連れが一緒だなぁ。なぁ?シグレ」ニコ

シグレ
「オズワードから手紙を預かってる」

白髪の男
「どれ。預かろう」

アオイ
「…オマエがホームズ?」

ホームズ
「そうじゃよ」


 ホームズはまたにこりと微笑むとオズワードの手紙へと視線を落とす。


ホームズ
「…用件は分かった。アオイ、じゃな?父親からの手紙を見せて貰えるか?」

アオイ
「あぁ、これ」ハイ

ホームズ
「うむ。立ち話もなんじゃ。ふたりともこっちに来て座りなさい」


 ふたりは手招きされるままソファーへと座る。正面に座ったホームズは少し険しい顔で手紙に目を通し、アオイはボルドーが最後の最期まで会いたがっていた男を目の前にその姿をじっと見つめた。


ホームズ
「…ボー(ボルドー)は生きていたのか…助けてやれなんだなぁ…済まないなぁ…」
 


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