微笑むヒトー002

【聖都:第二居住区画】


 シグレとアオイは寝静まった家々の屋根の上を音もなく風が吹き抜けるように進んでいた。

 行き先は第三聖域級区画。ここに警師団の本部があり、師団長であるホームズ・ルートンが居る。


アオイ
(…まっくらだ…)



今日は天気いーし、月も満月なのにな。



 見下ろす町並みはどの家を見てもしっかり過ぎる程に戸締まりがされている。もちろん一筋の灯りも洩れてはいない。


アオイ
「なぁ、なんでこんなまっくらなんだ?」

シグレ
「…」

アオイ
「なぁって」

シグレ
「煩ぇ。黙ってついて来い」

アオイ
「…」ム



感じワル…。



 沈黙のままかなりの距離を進むと空気が変わったのが肌で感じてとれる。少しだけ空中を漂う魔力の濃度が濃くなった。

 第三聖域級区画。魔装警師団本部よりも立派な造りの建物へとたどり着く。

 蔦に覆われた石造り建物。


アオイ
「ここにホームズ・ルートンがいんのか?」

シグレ
「黙ってろ」

アオイ
(またかよ…)チェ…

シグレ
「…」


 シグレは息を殺して建物の屋根へと登り素早く移動をする。屋根の端に着くやいなや、真下の部屋の様子を窺い、近くを這う蔦の葉を揺らした。

 すると窓の内から錠の外れる音がして白髪の男が顔を出した。


白髪の男
「…お入り」
 


[ 196/199 ]

|

し お り を 挟 む

ぺ ー ジ 一 覧 に 戻 る

C h a P t e R に 戻 る


←Novel

×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -