伝説と世界ー001

 風吹き抜ける草原で都一番の老婆が唄う。傍らには幼い少女。遠くに聖樹を望むこの草原で老婆は唄を風に乗せる―。


老婆
「―…世界がヤミに喰われし刻 焔を纏いしオニ現る―。その身の焔により ヤミを焼き尽くさんと―…」

少女
「おばあちゃん、そのおうたなぁに?」

老婆
「これかい?これはねぇ。伝説だよ。世界に古から伝わる古い古い伝説の歌」

少女
「でんせつ?」

老婆
「そう。焔を纏った勇者が世界を滅ぼすヤミを討ち、平和をもたらすのさ」

少女
「ほむらのゆうしゃさま?」

老婆
「そうさ。さぁお嬢ちゃんもあの聖樹に祈ってごらん。勇者の出現を」


 そう言うと老婆は再び風に唄を乗せる。


 祈りを込めた歌声を―



 この世界はゆるゆると穏やかに、着実に終わろうとしていた。


▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲

 


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