魔装警師団ー005

 淡々と報告するシュロットにあらぬ方向から横槍が入る。

 それは頬杖をついたシグレだった。


オズワード
「…今、何と言ったんだい…シグレ」

シグレ
「焼け跡のどこにも"魔力の痕跡が無ぇ"」

オズワード
「そんな事あるわけが…魔力の痕跡が無いだなんて…」

シュロット
「概ね間違いありません。詳しく調べても魔力は検出されないでしょう」

オズワード
「!?」

シュロット
「現在…いや、過去にもあれほどの火力の魔装は記録されておりません。それから、焼け焦げたヤミから推察するに瞬間的に発火、燃焼をしたものと考えられます。その様な魔装を創生出来る魔装師は存在しませんし、扱える師団員も存在しません」

オズワード
「…悪い夢でも見せられているかのようだな」

シグレ
「悪い夢なら始めから見ている。早く覚めてくれなんて望みは叶いはしない悪夢をな」

オズワード
「シグレ…」

シグレ
「倒せねぇ敵に弱る戦士。まさに悪夢だろ」


 そう呟くシグレにシュロットは何かを言いたげな顔をしながら報告を切り上げて魔装師協会へと足早に戻って行った。

 残されたシグレとオズワードはまた言葉を無くし静かに瞳を閉じた。




魔装警師団_終

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