魔装警師団ー003
オズワード
「シグレ、詳しく教えてくれるかい?」
シグレ
「数は数えてねぇ。ただ、おびただしい数だった。真っ黒に焦げた奴らは一匹たりとも生きていなかった」
シグレの言葉にオズワードとルイズは耳を疑い目を見開いた。魔装警師団の、それも選ばれた精鋭達でさえ致命傷すら与える事の出来ないヤミが死んでいたという言葉に―。
オズワード
「火に弱い、のか…? だが」
ルイズ
「火系の魔装を遣う師団員は常に10人程度は居るはずだよ。僕だって。…でも」
シグレ
「ヤミを焦がす程の火力を持つ魔装の遣い手は居ない。それと奴らの気配が消え失せていた。まるで最初から存在していなかったかのようにな」
ルイズ
「まさか…っ」
オズワード
「ヤミが消滅した、もしくは恐怖した…。いずれにせよシュロット君の報告を待とうか…」
目頭を押さえて眉間にしわを寄せるオズワード。そんなオズワードの言葉にルイズは「シュロットの所へ」と席を外した。
シグレは椅子の背にもたれかかるとぼんやりと窓の外を眺める。
陽が暮れ始めて茜色に染まる空。
不安とも焦燥感とも言い難い感覚が胸の内に広がっていく―。
シグレ
「……」
…残された匂いは"あのガキ"のものだった…。
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