少女と手帳ー005

 読んでくれ、と差し出される古い革表紙の手帳。


 それは魔装警師団で支給されている手帳だった。


少女
「オヤジがな?もし障壁を越えることができたらホームズ・ルートンに渡してくれって。この、折ってあるとこなんだけど…なんて書いてあるか知りたいんだ」

オズワード
「キミのお父さんは警師団員?キミは一体」

少女
「オレは食うに困った親が障壁の外に棄てた子供。オヤジは障壁の中に帰れなくなった聖都の人間。オレを拾って育てた」

オズワード
「!」

アオイ
「名前はアオイ。オレの着てた赤ん坊衣装に刺繍してあった名前だってオヤジが言ってた。この懐刀もオレが抱いてたんだって」

ルイズ
「っじゃあ…キミはお父上と"障壁の外で"今生活している…の?あんな、ヤミだらけの地獄で!?」

アオイ
「オヤジはふたつ前の春にヤミに喰われたよ」

ルイズ
「っ!」

アオイ
「だから、オヤジの最後の願いを叶えにここに来た。な、その手帳読んでくれよ」

オズワード
「…」


 なぁなぁ、と手帳を押し付けてくる少女にオズワードは整理出来ない頭で手帳を受け取り革表紙をなぞるとゆっくりと開いた。


オズワード
「…読もう…"親愛なる我が友、ホームズへ"…」




少女と手帳_終

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