タマシズメ
ホームズを訪ねた翌日。魔警団北部本部の師団長執務室にアオイは居た。
窓越しに見下ろしているのは裏庭。そこにはたくさんの師団員とオズワードとシグレ、ルイズとシュロット。そして、ホームズが集まっている。
皆が見ているのはアオイが届けた師団員の魂、殉職者たちの腕章だった。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲【裏庭】
ルイズ
「珍しいですね。"ここ(魔警団北部本部)"にあなたが居るなんて」
ホームズ
「友を送りに来ただけじゃ」
そう言ってホームズはアオイから受け取った、アオイが着ていたボルドーのジャケットを腕章の上に広げ、酒を注いだ。
ホームズ
「ぬしの好きな酒じゃ。最後の盃、次はあの世でな」
壺の半分をボルドーに、残りの少しを自分が飲むと壺をオズワードに差し出す。
オズワード
「え…」
ホームズ
「飲め。総師団長」
オズワード
「…戴きます」
残りをオズワードが飲み干すと松明を手にしたシグレが積まれた腕章に火を点けた。
酒をかけた事もあり、火はあっという間に山を覆い天高く煙りを昇らせていく―。
▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲【師団長執務室】
静かに昇る煙りにボルドーの姿を重ね見る。
そして、その煙りに向かい祈りを捧げる師団員やオズワード達に目を細めると空を見上げた。
アオイ
「ちゃんと届けたぞオヤジ。…ほめてくれるか?」
見上げる頬を雫が伝い落ちていく―。
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