少女と手帳ー002
荷物を背負った少女は物珍しそうにきょろきょろとしながら部屋へと入り、オズワードの前に立つと背中の荷物を下ろしてしゃがみ込んだ。
少女
「これ、アンタに受け取ってほしーんだけど」
オズワード
「? 何だい?随分と大きな包みだね」
シグレ
「!」
ルイズ
「これは…!」
包みを広げたその中身にオズワードは眉をひそめた。シグレはそのひとつを手に取り確認する。
包みにくるまれていたのは血泥で汚れた魔警団の腕章―
シグレ
「…"シャルル・オーツ"、確か東部支部所属で3年前の作戦中に殉職した団員だな」
オズワード
「…」
少女
「これはオマエ達の魂なんだろ?そう教えられたんだけど」
団章と団員名が刺繍された腕章を撫でながら少女が言う。
シュロット
「失礼します。お茶をお持ちしました。…! それは…」
少女
「障壁の中に帰れなかったヤツらだよ」
シュロット
「殉職者の腕章、ですか」
少女
「数が多すぎてさぁ?死体は運べねーから。持ち運べる状態じゃねーヤツもいたし…だから、聖都に入る時の為にとコレだけは集めてやってくれって」
オズワード
「…"集めてやってくれ"?誰かに頼まれたのかい?」
少女
「うん。オヤジに頼まれた。コレだけでも聖都(ここ)に帰してやりてーんだって。コレはアンタ達の手で、この街で弔ってやってくれよ」
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